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統べる男→sideY
真壁。
東の最大派閥の真壁。
留年して2年を2回やっていて、実質トップの小倉でさえ手が出せないくらいで、裏のトップと呼ばれている。東高の半数は彼の派閥らしく、誠士もそいつには気をつけろと教えてくれてた、その真壁本人が、士龍だったのか。
確かにいままで、話は聞くがまったく顔を合わせたことがなかった。
もしかしたら、士龍は、コッチを避けてたのかもしれない。
「東高の真壁って、シロだったの?」
士龍とはトールと一緒にケンカにいったし、護身術をならったりしていた。
だったら恐れることはないのかな。見た感じまったく好戦的ではないようだし、ぬけさく天使だった昔と変わらない雰囲気だ。
「ヤッちゃん、記憶喪失なおったの?」
東流から聞いたのか、いきなり聞かれて驚く。
「全部、思い出せるわけじゃないけどね」
それにしても男らしくなったんだな、じいいと見上げてると、柔らかい表情で綺麗な笑みを返される。
なんだ、ドキッとしちまった。
「ヤクザにカチコミって、尋常じゃねーだろ、何があった?」
東流が俺らの間に入り込み、心配そうな表情で士龍を見ている。
どうやら、東流への報復ではなくこの人数でヤクザにかちこみにいくらしいのだ。
100人いたとしてもヤクザ相手としたら無謀だろ。
ギュッと拳を握って、士龍はひどく辛そうな表情をする。
「恋人を、拉致られた」
東流が思わず目を見開き、一瞬考え込む表情をしたが、ぽんと士龍の肩に手を置いた。
ダチが切羽詰った顔で命かけようとしているのを、東流がむざむざ見捨てる筈はない。
「……手ェ貸すぜ」
まあ、そうなるだろうな。
士龍にも恋人がいて、助けるために命かけようとしてるとか、ホントに背だけじゃなくて大きくなったんだよな。
周りを見回すと、他の連中が東流をみて心配そうな不安そうな顔をしている。
こんなに、人望があって周りからも大事にされてる様子をみると、小学生のときのダチだったとしてもなんだか嬉しい。
士龍は周りを1度見回してから、東流に素直に頭を下げた。
「トール君、頼む。手を貸してくれ」
大事な恋人をどうにかして取り戻したいと、士龍の言葉はその気持ちに溢れていて真剣だ。
たぶん、その気持ちは東流にはよく分かってるのだろう。
「俺はシロの幼馴染のトール君だ。そのカチコミ、参加すんよ」
東高は嫌いなので、かなりややこしいことになったなと思いながらも、まあ、俺も幼馴染みのピンチに手を貸そうとこころから思った。
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