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護衛中→sideT

士龍の手下どもはバイクに乗っては来なかったらしいので、駅前店にバイクを置いてふたりを護衛して帰ることにした。 護衛とは、まあ言い過ぎかもしれねえけど、追っ手とかはいないかどうか確認しながら歩いている。 「うちの高校の奴らに見られたら、逆に拉致られるとこかと誤解されそうっすけどね」 俺の右に歩いている短髪の男が、苦笑浮かべながら俺に言う。 「……なんでだ?」 分からず首を傾げるとおかしそうに、ソイツは笑い 「わかんないすか?…………うーん、拉致ってシロウさんとかを呼び出すとかさ。普通は考えちゃうかと思うんすけど」 「……………わかんねー………別に拉致る必要ないだろ。潰したいなら潰せばいい……」 意味がわからないので、ダラダラ歩きながら首を捻っておく。 「木崎、その人の強さなら、そんな小細工は理解不能だべ。うちの精鋭10人とタケちゃんでも、カスリキズくらいも与えられたかどうかってレベル」 右に歩いているやつの名前は、木崎らしい。 左の方は、タケちゃんとやらに襲われた時に確か周りに指示だしてたやつか。 まあ、俺の時もきたくらいだし、その赤毛のタケちゃんが攫われたわけだし、そりゃ助けにいくよなあ。 恋人とは意外すぎたけど。 「…………別に、こっちから潰したいとかないし。俺がいねーときに、ヤスに手を出されたのはアタマきたけど…………」 「トール君さんは、あんまりケンカ好きじゃない?シロウさんと同じような?」 木崎は、興味深そうに俺に聞いてくる。 「東流でいい。そーだなあ、好きでしてはいないな。俺は、絡まれたり、ヤスに手を出されなきゃ、別にそーいうの自分でしてえわけじゃないから」 「そ、そうなんすね。噂どうりじゃないんっすね。やっぱり一つ上なんで、東流さんって呼ぶっす。俺は木崎直哉っていいます」 律儀そうな顔つきの木崎は、意外そうに俺を見やる。 「ナオヤな……」 「あ、俺も聞きたかったんすけど、士龍さんの苗字、タチバナだったんすか?」 左の方のタケちゃんのとこのヤツは、ちょっと深刻そうに聞いてくる。 「小学校ときは、橘士龍だったぜ。駅前のでっけえ橘病院の息子。その頃は、綺麗な金髪と緑の目で、ドイツの血が入ってるからか、ちっさいしキラキラしてるし、天使のようだった」 「タチバナ…………やっぱり、ホントだったんだな」 何やら考えこむように呟く。 「シロウさんは、ちょっと抜けてるけど、まあ嘘はつかねーよ」 2人で何やら分かりあっているが、俺には関係がないようだ。 俺は、とりあえずナオヤの家の近くまでいくと、ポケットから携帯を取り出して、差し出す。 「な、なんすか?」 「番号、控えておけ。ヤクザに襲われたら、呼べ」 自分で電話番号を表示できないので、なんとかしろと言外に言って渡す。 「は、はい。いーんすか?」 「登録したら、ワン切りしとけ」 俺は士龍の手下たちと、電話番号を交換しあいつつ、とりあえずしっかりしたヤツらだったので、安心した。

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