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ふたり→sideT

康史がアイコンタクトで呼ぶので、俺も2人の会話を聞くのをはばかってキッチンの方にやってきた。 「異母兄弟ってヤツだな」 「イボきょうだい…………」 思わずその言葉に眉を寄せると、康史は俺に軽く横に手を振る。 「トール、違うからな。足のイボとかじゃないぜ。お母さんが違う兄弟ってことだぞ」 慌てて補足をされる。 あー、そういうことか。なんで、康史は、俺がイボイボな兄弟を想像したのがわかったんだろう。 スゲーな。以心伝心ってやつだな。 康史はオヤツになるようなものを皿に乗せて、電話をしだした2人の様子に、安心したような表情をしてそれをもっていく。 俺も、康史の後からソファーに戻り、士龍の前に座る。 「シロはさ、この赤毛のドコがいーの?」 顔は可愛い感じではないし、どっちかっていうと顔は強面である。ツリ目で男前ではあるけど、綺麗ではない。 「ちんこかな。エッチがうまい」 少しも考えずに、サラッと答える士龍にホンネなんだなと思い、タケちゃんの方を見ると顔を真っ赤にしている。 まあ、大体その回答は恥ずかしいし、テレるよなあ。 「シロも、トールも最低な答え平気でするよね」 康史が笑いながら横から茶々を入れるが、士龍はそれがピンとこないらしい。 「最低かな?」 首を傾げて、でも、スゲーきもちーぞとか士龍は言っている。 「まー、トールは俺の顔が好きらしいけど。昔からそれは知ってたけどね」 「顔とか体とかいうのは、最低らしいな」 そういや、そんなことを東山に言われたのを思い出した。 「まあ、最低だけど…………そうなるように仕向けたし。でも、士龍に気にいってもらえるのは嬉しいっす」 真っ赤な顔の虎王は、意外に素直なタイプらしい。 まあ、士龍が選んだ男だしな。 「さて、俺らはこれからデートいくから、冷蔵庫のもん、好きに食って?寝室使っていいぜ。朝まで帰らねーから。帰ってきたら送るし」 さて、俺も康史に約束を果たさないとならないな。 「夜景とか?」 デートの定番はそうだよな。普通。 「駅前のSMホテル。ヤスの合格祝いにつれてく約束してたからよ。馬とかなんか檻とかあるらしーぞ。なんか面白そうだし、ヤスが行きたいらしいし」 遊園地の代わりにいったホテルだが、あまり覚えてない。 入る時は、クラクラだったし、出る時はそれどころじゃなかったし。 あんまりいい思い出はないけど、康史がいきたいなら、そこが一番だ。

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