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※あまくやわらかな→sideT
「俺が全部わすれちまって、不安だったよな」
康史に体を少しだけ支えられながら浴室から出て、ゴロッとベッドへと仰向けになると、俺は康史の腕をぐいと引っ張って引き寄せる。
さっきより頭は鮮明になり、徐々にだが身体の感覚が戻ってきている。
俺の上に覆いかぶさりながら、康史から語られる言葉に、どうだったかなんて正直考える余裕はない。
だけど。
「ふあん、じゃねえ」
康史が忘れてしまったとしても、俺が忘れていなければいい話だ。
「おまえは…………ずっと、おれをすきだったって…………いっただろ」
それまで、俺を好きでもなんでもないなら、多分不安になっただろうけど。
逆に俺がこの1年のことを忘れたほうが、こわい。
俺の方は康史に恋愛感情なんて、気づいてなかったのだから。
「それに………たとえば………ぜんぶわすれても……また、やすは、おれをすきになるだろ」
だから、ちと身体が辛かったとしても決定的な不安はなかった。
ちょっと康史は目を見開いて、目をゆっくり細めていくと嬉しそうな笑顔をつくる。
「そうだな。俺は、トールを何度でも好きになるよ」
唇を緩く押し当てて、俺は唇を開いて何度も吸い返して舌先をからめとる。
身体が再び熱くなって俺は康史の太股に下半身を擦り付ける。背中へと腕を回して脚を広げて腰をあげる。
「エッチな格好だね、誘ってるの?」
唇を外して囁きながら、俺の腰を抱きかかえて、ギチギチになっているペニスをゆっくり開いた孔へと押し込んでいく。
クプックプッと内部に潜り込ませていく。
中に入り込む肉の熱や形が康史だと認識する。
「……ッはあ……うん……あ、はいって……くる、ンンン…………っく、はあはあ……っ」
「ああ、すごい、熱いよ。トールの穴、よろこんでうねってる」
俺は腰を揺すって背中を反らす。
何も制限なく快感が享受できて、動かす体に夢中になる。
このまま、この熱でぐつぐつに蕩けてしまいそうだ。
「っはァ、っく、ああ、くふ……ンッああ、いい、とけちま……うう、きもち、ひい」
ずぽっずぽっと拡がった穴を何度も擦っては、奥にある箇所をえぐり、更にドロドロにとけさせる。
全部を犯されたいと思うのは、康史だけだ。
腰を掴んで俺の奥まで押し込みながら、俺は康史の肩口にギリギリと噛み付いて咀嚼するように啜る。
これは、俺の、ものだ。
ぜんぶ、俺のだ。
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