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卒業式予行→sideY

合格の報告に行った後、それっきり行ってなかった学校へ登校したが、なんだか合格祝だのなんだので、囲まれてしまった。 一緒に来たはずの東流は、人だかりから逃げたのか自分の席で東山と話しているようだ。 「〇×大学とか、スゴイよね」 「推薦だからね。一般入試よりは、学科が少ないから」 囲まれて身動きがとれず、久々にちやほやされる感覚に少しうざさを感じている。 試験の時は記憶を無くしてたけど、まあ、学力方面の記憶は少しあったから助かった。 「ねー、ねー、せっかくだしさ、日高君、みんなで記念撮影しようよ」 んなもん、卒業式当日でいいじゃないかと思うが、八方美人な俺はついつい頷く。 「じゃあ、順番に撮ろうか」 「さっすが、日高君は優しいよね。あ、長谷川君が心配そうに見てるよ。妬かれちゃうかな?」 ちらっと東流を見ると、俺を見てはいるが、特には妬いているような顔ではない。 まあ、こんな状況は慣れていると言った様子だ。 「長谷川君も呼んで一緒に撮る?」 「大丈夫。トールはそういうの苦手だから」 他の女たちと一緒にトールを映したくない。 嫉妬深いのはむしろ、俺の方である。 女たちは、楽しそうに笑いながら俺と東流の関係を聞いてくる。小西さんみたいな感じではないのだが、その辺はほっといて欲しい。 「あ、アレ。金森さんじゃない。」 「元カノだっけ、日高君、大丈夫?」 再び視線を投げると、東流の方に波砂が歩いてきて、なにやら声をかけている。 今更何も無いだろうけど、なんだかこころがざわつく。 「金森さんって、なんかすごく日高君に似てるよね」 「……波砂は、親戚だからね」 母親の妹とは言えないけど。 「そうなんだ。美人な家系なんだね」 俺のこころのざわつきは、止まらないみたいだ。 「ちょっといってきていい?」 ポニーテールを揺らしながら、東流と話す波砂にさすがに気にならないわけはなくて、俺は撮影会を中止して、2人の方へと歩み寄っていった。

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