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※【番外編】やくそく
「新しい犬が誕生しました。お披露目になります」
マイクで話すアナウンスの男は大げさな身振りで注目を集める。
仰向けで膝をたてて両足を開いて秘部を晒す俺は、周りが見れば滑稽で仕方がないだろう。こんな屈辱でしかない行為も、康史が興奮して熱をもった視線を向けていることで、俺はうれしくなってしまう。
「トール……抜くよ。これから、トールはここでは犬だからね……何をされても暴れたらだめだよ」
優しく囁かれながら、ずるっと張形を引き抜かれて背筋がぞくりと痺れてくる。
「アッ……っく……っふ……」
康史は宥めるように俺の頭を撫でるが、貞操帯に阻まれたペニスは痛みしか与えてこない。
わらわらと集まってきた男達は、俺を物珍しいように見下ろしている。
「屈強そうな犬だね。愛玩というより、狩猟犬に近いのかな」
「ええ……でも淫らで可愛いですよ」
「テイスティングはできるのかい?」
「いいえ。見るだけでお願いします。でも拡張の手解きだけは、許可してます」
「ほお……では、手解きをしよう」
男は置かれているツボから、濡れた長いスティックをとりあげると、ぐいと開きっぱなしになっているアナルへと押し付ける。
ちらと康史を見上げると、ギュッと俺の肩を強く掴んで床に押し付ける。
「オレがいるから……大丈夫……。気持ち悦くなるだけだからね」
押し付けられた柔らかい棒が身体の内部に押し込まれて、にちゃにちゃと攪拌するように回される。
「ッ……ッふ……っ、うッ……ッんッ……」
意識をもっていかれて、康史に何かあったら後悔すると思い必死で奥歯を噛み締める。弱い箇所を心得ているのか、棒の動きに翻弄されてしまいそうになり首を横に振る。
「強情な子ね……大丈夫よ。あたしの店で彼に危害は加えさせないわ」
嫌なオカマ野郎が近づいてきて耳元で囁くが、信用はできない。
さっきだって、あわやってとこだった。
「快感にすべてをまかせて安心しなさい」
ずんっと奥の壁を突き上げられると、頭から全てが剥がれ落ちてしまうかのように目の前がチカチカとする。
「ーーっう、アッ……ッああ……ッや、やすっ、……ッひ、やだ……ッくう……ッや、ああ」
康史に腕を突っ込まれた時に、抉られた箇所を細い棒はつつき回す。
「雌のように腰が動き出したね。結腸が大好きなんだ……いやらしい顔になった」
「ーーッく、っいや……っだ……ッ」
身体の中で響く律動ばかり気になり、どくどくと身体の血液がめぐりはじめる。
こんな刺激じゃいやだ。
「何がいいんだよ」
「っく……ううう……もっや、……ッあ、もっ、と……ッふと……いの」
問いかけに男は笑って、棒から手を離すと近くの男へと別の棒を手渡す。
「欲張りみたいで手に負えないな」
「ちが……ッ……ああっ、ちがうっ」
奥を貫かれたまま、もう一本の棒で浅い箇所をかき混ぜられる。
「ッい、いや……ッや、やす……やすの……ちんぽがほしい……ッあ、ああ」
ねだった俺に康史はまだだよと呟いて、ゆっくりと首を横に振った。
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