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【番外編】入社式→sideT【完】
一通りの説明を受けて、支給されたものをカバンに突っ込んでいると栗原が声をかけてくる。
「家、どっちの方?」
「あ…………あ、えっと〇丘町の駅のとこ」
合併を繰り返してできた市なので、同じ市内でも駅が何個かある。
「そか、俺は上川の方だから途中までいかねえか?」
逆方向ではないのがわかり、栗原がさそってくれる。コミュニケーション能力がかなり高いやつなんだろうな。
確かに西のやつらとは波長はあわなそうだったけど。
「あ、俺は迎えがくるんだが、上川なら通り道だから」
康史が外で待ってるとさっきメールを確認した。
定時にきっちり着くように待ってるらしい。
「そうなんか、なんか悪いな」
カバンをもって阪口さんたちに挨拶をして外に出るとすっかり夕暮れ後で薄暗い。
「北高で就職ってあんまねえだろ」
「まあな。でも、最初から決めてたしな」
会社の門のあたりに、見慣れた車がとまっていて、中から俺を確認したのか、運転席が開いてすらっとした見慣れたシルエットが見える。
俺は軽く手をあげて、門を出ると康史は、嬉しそうに笑みをつくる。
「初出社、お疲れ様」
柔らかく響く声になんだか嬉しくなって俺は頷いた。
「あ、こっち同期の栗原」
「こんばんは…………えっと」
「こんばんは。日高君だよねぇ、知ってる。俺、士龍の親友だからさ」
コミュニケーション力を発揮する栗原に俺は安心して、後ろに乗れよと促した。
どこか、誠士と同じような雰囲気に安心する。
少しいけ好かない先輩とかもいるが、とりあえずこれからの生活も恙無いような気がした。
【 入社式 END】
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