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海岸の思いで→sideY
ビーチバレーの後は2人行動になって、俺はさっそく東流を岩陰に誘って、いい加減我慢の限界とばかりに押し倒したのだが、東流は海を眺めながら、今はまだしないと珍しく拒否したのだ。
ビーチと言えば、SEX ON THE BEACH ってやつだと思っていたのだが。
「…………ヤスさ、覚えてっか?ヤスのオヤジさんに、一緒に連れてきてもらったじゃん。俺は1日中さ、海でヤスと遊んだ思い出、ずっと忘れらんなくてさ、またきたかったんだ」
浜辺に座って、砂浜の砂をざくざくと東流は掘っている。
東流はあまり、家族でこういうとこにこれない家庭なので、そういうのがずっと憧れみたいなもんだったのだろう。
俺と来たくて、夏休み前から楽しみにしてくれてたんだもんな。
「そっか、今日は海、たのしもうな」
「……帰ったら、埋め合わせするからよ」
1日中楽しく遊びたいと主張した東流の言葉が、なんだかすごく可愛く見えて、俺は諦めて額にチュッと唇を押し当てた。
夕日が沈むまで、俺らは浅い海の中で遊び倒した。
すっかり体力なくなるまで遊んで、家に帰ると21時を過ぎていた。
誠士はミカちゃんを送りにいくと、途中でクルマを降りた。
さすがに着いた時には、東流は車ですっかり眠ってしまっていた。
埋め合わせ、…………忘れたとはいわせねえ。
と、思いながら無理やり起こすと、寝室に連れ込んだのだが、俺が軽くシャワーを浴びているうちに本気で寝られてしまった。
寝ている姿はすごく可愛いんだけど。
約束は約束、だよな。
俺は通販で買った道具を入れた箱を取り出した。
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