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首輪を嵌めるということ →sideY

昔から傷ついた東流を見るのは、なんとなく好きだった。それが、自分を守ろうとした結果だったのもあったけど、根性焼きごっこをしようと言って、手の甲を焼きあったこともあったが、熱さと痛みをこらえる表情はひどく扇情的だった。 本当にサディストで趣味が悪いと周りにも言われているが、これだけは変わらないし、性癖なのでどうしようもない。 ぐったりしている東流を、俺の家まで一緒に運んでくれた東山を帰して、俺は浴室へと運んだ。 メシを食ったら少しは回復したっぽいが、全裸に脱がすと殴打された腹部は紫色や黄土色に変色していた。 体力もあまりないのか、ぐったりして俺にすべてを委ねているのもそそる。 「明日から三日間連休だし、…………とじこめてもいいよね」 連れて来る前に許可は得ていたが、確認のために再度といかける。 最初からそうすれば良かったかな。 ラブホはやはり、俺らにとってはかなりの鬼門らしい。 「ああ…………イーヨ。ちょっとヤられすぎて体力がねえけど」 綺麗な胸板や腹筋にも、痣があちらこちらに散らばっている。 今回の相手にてこずって、相当ダメージをくらったのがわかる。 ひとつひとつのあざに唇をあてるとくすぐったそうな表情で、困ったように笑う東流の姿が目に入る。 「俺も予備校の宿題とか模試とかあるから、あいたときにしか構えないけど……そんでもさトールが近くにいるだけで嬉しいかも」 少し汗ばんだ体をなぞり、もたれかけさせたまま一緒に浴室に入る。 「やっぱ組の人じゃ、流石にトールでも厳しかったみたいだね」 体を下ろして、持ってきていた拘束具を手にすると、トールの足首と太腿に革のベルトをまきつけていく。 革のベルト同士を鎖で繋げて仰向けにしてM字開脚にする。 不安そうな表情を浮かべてトールがゆっくりと周りを見回す。 「……って、ここにとじこめるのか?」 「ここなら、トイレとかも安心でしょ」 拘束したまま俺も出かけることもあるだろうし、前に拘束したときはずっと我慢していて死にそうになってたし。 「……えー……まあ…オマエが変態なのは今に始まったことじゃねえけども……ここで用もたすのか…………」 「怖い?」 トールにしては、歯切れが悪い口調にちょっと首をかしげた。 怖がっているようではないが、不安そうである。 「…………暖房、止めるなよ?今度は凍死する」 11月なので、暖房なしじゃ風呂場じゃ寒さに凍えるかもしれない。 「ちゃんととまらないようにする。でも、停電とか怖いよね。もしものためにでかけるときは毛布おいておくよ」 前は冷房切れたし、何があっても大丈夫にしないと、不安だろう。 「今日は、トールに犬になってもらおうかなって」 取り出した首輪を見せて、首に巻きつけて鍵をかけてリードを嵌めてシャワーフックにひっかける。 「首輪か……ふうん、デザインはちっとかっけえな。俺は、オマエのもんだからさ」 微笑むトールに他意はない。なんだかんだ、やっぱりひるんではくれないようだ。 「怖がってくれないかー」 「だーかーらー、怖くないっての」

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