153 / 405

畏怖→sideT

確かに、昨日の夜は俺がかなり求めたのは覚えているが、視界が起きたとたん真っ黄色になっている。 体も身じろぎするのも辛いくらいで、しばらくぐったりとしている。 HPは1に限りなく近い。 今日はクリスマスイブ、だよな。 アイツも似たようなものだと思うのだが、朝から予備校に行ってしまった。 体力は俺のがあるって思ってたんだが………ヤるのとヤられるのは、負担の割合がそんなに違うものなんかァ。それとも、アイツは絶倫か? いや、俺だけ何度もイかされてたからか。 半年で完全に体、作り変えられた気がする。 のそっと起き上がり、体は拭いてくれたのか別にキモチ悪くないが、シャワーを浴びようと浴室に向かう。 「おー、トール、起きた?」 寝室を出ると、誠士がソファーでWiiのマリ○カートをやっていた。 「ハヨ。……あれ……セージ、オマエ、デートじゃねえの?」 クリスマスイブなのに、なんでこんなとこにいるんだと首を捻ると、誠士が肩を落として眉をへの字にして俺を見上げる。 「ミカちゃんには、今月の頭に振られマシタが、何か?」 地雷だったようだ。 「あ、悪ィ。……シャワー浴びてくる」 多分グチでもいいにきたのだろう。また、康史にオンナ紹介させとけばいいか。 浴室に入りシャワーを浴びて出てくると、誠士はまだコントローラーを握ってゲームに夢中になっている。 「恋愛って難しいなぁ」 「ゲームみてえにはいかねえよ」 どさっと誠士の横に座ると、横目で俺を見やって更に追い討ちをかけられたように肩を落とす。 「このくそさみいーのに、何でオマエは全裸なんだよ。服着ろ、服。体中キスマークだらけでうぜえ」 幸せじゃないと、人の幸せは許容できないようだ。器のちいせえ男だな。 もう一度腰をあげて、下着をつけて長袖のTシャツとスエットの下を履いて、テーブルの上においてあるおにぎりに手を伸ばした。 さすがに康史も、飯作る気力がなくて、誠士に買い出しを頼んだのか。 「オマエらはさ、別れたらダチに戻れるの?」 「……もう、ムリかもな……」 誠士の言葉に、俺はおにぎりのビニールを剥く手を止めた。 多分、ダチにも戻れない。 見てるだけで、体が反応しちまう。 「怖くねえの?」 「ンなもん。別れねえから怖くねえよ」 おにぎりにかぶりついて、俺は笑った。 「だけどよ、人の気持ちだけじゃどうにもならねえ時も、いずれはくるかもしれねえ。俺、そんとき、どうなっちまうかなァ。」 不慮の事故、病気、なくす理由なんて沢山ありすぎる。 ありすぎて、そんなこといちいち怖がっていらんねえ。あの時、腹はくくったしな。 「……そんなことまで考えてンのか」 「願わくば、その日がじいさんになってて、俺の性欲が失われた頃であることを祈るばかりだけどな」 俺は笑いながらそう言うと、誠士の肩をぽんっと叩いた。 「これから、康史にクリスマスプレゼントを買いに駅前いきたいんだけど、つきあえ」 「ハイハイ。リア充爆発しろって言いたいけどね。トールのセンスひでえからな、どこなりと付き合うぜ」 コントローラーを置いて、何度もため息を繰り返す誠士をともなって、俺は買い物へとでかけた。

ともだちにシェアしよう!