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クリスマスイヴ→sideT

買い物を終えて誠士とは別れて、コートのポケットにプレゼントをしまって待ち合わせの場所についた。 ただ、立っているだけだというのに、どうして囲みにあっているんだろうか。 周りのカップルたちが、その場を離れて行くのに罪悪感を覚える。 確かに待ち合わせ時間の30分前から、ついついその場所に待機しちまったンだけども。 それは、俺のウキウキ感から為せる技だろう。 「ハセガワァー、随分とオシャレに決めちゃって、まさかのクリスマスイヴデートとかですかァ、キャハ」 俺の胸倉を掴んですごんでみせているのは、東高の制服を着たいつもの糸目の男。 名前は忘れた。 東高のやつらは、本当に俺を目の敵にしている。怪我しないうちに帰ればいいのに。 「うるせェ……よ。邪魔だ。それとも、寂しいからってヒガミですかァ?おめえらと、喧嘩してる暇ねえよ」 面倒くせえなァと思うのだが、こういう奴等は暇だと喧嘩したがるものだ。 今日の格好は、康史に買ってもらった服なので、いつもの俺より数倍以上オシャレになっている。 こんな時に喧嘩はしたくねえなァ。 「ハァ?喧嘩大好きなハセガワ君の言葉とも思えねえけど、よっぽど可愛い子と待ち合わせしてるのかなあ、キャハハ」 すげえ可愛い子と待ち合わせしてんだよ。 俺の首根っこをグイグイと締め付けてくる。 うぜえ……。 我慢の限界……だな。 俺はその手首を掴むと、ぐいっと力を入れなおして鳩尾あたりに一発膝蹴りを食らわせる。 けほっと声をあげて、膝を落とした相手の背中にすかさず踵を押し当てて、ぐっと踏み込んでジワジワと体重を移動する。 「ここで下がっておけよ……折角のクリスマスイヴだぜ、こっから病院送られたくねえだろ」 低く囁きながらぐりぐりと踵でアタマを押しつぶす。 骨を折らないように軽く加減しつつ、でもしっかり痛みを与えるように強く踏みしだく。 「トール、お待たせ。なんだよ、お楽しみ中だったァ?」

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