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クリスマス→sideY
今日は本当にトールに心から求められていると感じる。
俺が強要して始まった関係のはずなのに、東流は心から俺を求めてくれている。
貪るような情熱的な野性味溢れたくちづけに、また涙さえ出てきそうになってくる。
半年前、卑怯な手で東流の体をモノにしたことも、ひとつも責めずに俺を好きだと返してくれた。
報復に殺されることでさえも、覚悟していたというのに。
口づけに満足したのか、ゆっくりと唇を離して、東流は俺の肩に頭を乗せてぎゅっとしがみついてくる。
「……トール……俺に……不満とかねえの?いつも、俺ばっかし突っ込んでて、嫌じゃないか」
ごわごわしている東流の綺麗な銀色の髪に触れる。
堅くて刺さりそうな針みたいな髪だ。
「……ン……?別に…………きもちいいぜ。イヤな
らしねえし…………」
顔を上げた表情は、俺の質問を半分も理解していないといった顔である。
男ならやっぱり、突っ込みたいとかあると思う。
生来、東流はあまり性欲強い方じゃなかったけど。
「……いや…俺に突っ込みたいとか、そういうのねえのかなって」
俺が最初に強姦したのだが、本来それで満足する性質の男ではないはずだ。
性欲はあんまりなかったのが気になるところだが……。
「ンーー、俺の、ホラ、みろよ、こんなにでけえしなァ。ヤスのケツぶっ壊れそうだし、体力もさあるし……俺のが頑丈だからさ。なんか、オマエを傷つけそうで、怖いっ、てかな…………おかしいか?」
さらっと自慢げに見せながら、何のことでもないように答える。
常にある、俺に対する気遣いに涙が出そうになる。
確かに、ここにぶら下がっている俺の二倍の大きさの一物で突かれたらぶっ壊れるだろう。
「……まあ、それに……俺……さ……」
東流はちょっと言いにくそうに言葉に言いよどむ。
まさか、ホントはMとか、いうことは、ないか。
珍しいなと思って顔を覗き込むと、ぐっと頭を抱えるようにして抱き込まれる。
「無茶苦茶ヤりすぎて、オマエが俺を心配する顔が見たい」
それが本題とばかりに言われて、ちょっと意味が分からなくなってくる。
「…………俺さ、オマエに心配されるの……すげえクルからさ」
東流にも、俺にはよくわからないフェチズムがあるようだ。
俺に心配されるのがスキとか、ちょっとよく分からない。
「だからって、喧嘩とか無茶とかすんなよ……」
「もう。しねえよ……喧嘩以外でも、ヤスが心配してくれっし」
甘えるように鼻をすりつけてくる様は、本当に猛禽類の獣に懐かれているようで、可愛いくて仕方がない。
「…………今日はさ、すげえトールから求めてくれたの、メチャクチャ嬉しかった……」
「オマエが焦らすから……、今日はよ、メシの時からセックスしたかった」
東流の肌が急に熱くなる。照れているのだろうか、ちらっと見える首筋まで赤く染まっている。
「トールに……求められるのすげえ嬉しい」
半年前は、ただただ拒絶されることしか考えていなかった。
東流が俺とセックスしたいと思ってくれるようになるなんて、考えもしなかった。
「ヤス……。オマエはどう思ってるかわかんねえけどよ、俺だって性欲はあるし、好きなやつとしてえなって思うし、我慢できねえ時はオナニーだってすんよ。いつだって、オマエのことは欲しいって思ってる。普段は、まあ……そういうこたあんましうまくは言えねえけどよ」
ぎゅうっと抱きしめられて熱く言葉を告げられると、たまらなくなる。
クリスマスだからだろうか、欲していたものを全部これでもかというくらい大盤振る舞いしてくる東流が愛しくて仕方がない。
「なあ、トールは……俺が欲しくてオナニーすることあるのか……。見せて」
どうやら、今日の俺は欲張りみたいだ。
抱きしめたトールの体が熱をもってくる。
とくとくと胸元から聞こえる鼓動も、速度を増してきている。
「………ンなの………見てどうすんだ……。前にも見せたし………シたろ?」
低い声。
きっと、いつも以上に彼は照れている。強張った声音も必死で隠しているのだ。
「俺、もっとトールに……求められたい」
耳元で囁くと東流は掌で自分の顔を覆って、俺の体から名残惜しそうに腕を解く。
「……出来ることなら……四六時中、…………オマエが欲しいぜ、ヤス」
体を起こしてベッドヘッドに背を凭れ、東流は俺に晒すように、既に汚れた下肢を開いた。
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