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※大阪事変→sideT

「こりゃ、絶倫やね。こんなにザーメン塗れなんに、まだ強欲だすとか、かなわんわ。おら、弟くん、おにーちゃん助けたってや」 何本突っ込まれたか、もはや分からなくなっている。 ボスは西覇の背中をとんと押して、俺の前に突き出す。 無様、晒して悪いがこれは最後のチャンスだな。 「兄弟どんぶりとか、売れそうなネタや。ほら、あんなに腰振っておねだりしとる、おにーちゃん、かわいそやない?」 西覇は、放心したような表情で動揺しなが、俺を見下ろす。 俺は求めるように演技をして腰を押し付けながら、軽くアイコンタクトをしようとするが、西覇にはまったくわかってないようだ。 だめ、か。 「はよ、入れたりいや。おねだりしまくって、かわいそやろ」 西覇は、俺の腰を掴むとゴメンとつぶやいて、硬くなったペニスを胎内へとずくっと挿しこむ。 「……ッハァ……っ……っ……はあ」 グイグイと中をダイレクトに擦りあげて、脆い箇所を突き上げるので。俺も余裕がくなる。 俺の演技が迫真すぎたのか。 「…………ッく……あ、あっ、セーハ…………キスして……」 精液まみれで悪いなあと思いながら唇を開いて、ゆっくり押し付ける。 ここに来る前に歯の裏にしこんだ、小さいカッターを西覇の唇の中に押し込み、視線で合図する。 漸く西覇は俺の意図に気がついた表情を浮かべ、口に含んだカッターをわからない角度で吐き出して、俺の腰を掴みながら中をかき混ぜるふりをして、俺の拘束をカッターで外していく。 「……ッはあ、あ、あ、ッふか、……ッいっ」 演技はうまくないが、甘えるように身体を寄せて脚や腕の縄を切らせる。 「アニキ……ッ……いッく……ッ」 西覇は、何を考えたのか本当に中で出しやがったので、思わずギリッと睨みつけたが、西覇は俺を見返してフンッと鼻先で笑いにらみ返された。 とりあえず、全部解けたのを確認して、西覇がゆっくりと身体を離すのに合わせて、俺は、ボスに殴りかかり腹に1発入れる。 西覇はヒデオ係を取り押さえて、ビデオを破壊するのを見やる。 ボスを完膚無きまでに殴り倒すと、俺は裸のままで周りをみ回し、ニヤリと笑って言い放つ。 「全員、処刑な」 なんだかんだ、奴らを片付けて漸く倉庫を出ると、すでに日暮れ近かった。 「アニキ、もう、気が済んだし。帰ろうか」 ホテルに帰りシャワーを浴びて、なんとか気力を取り戻した俺に、西覇は、精魂付きはてたといった表情でそう言った。 「俺なら大丈夫だぜ。帰りは1日遅れちまうかもしれねーけどさ」 明日の朝のフェリーに乗ればいいかな、と、安易に俺は考えていた。 「ん…………結局、オレは先輩が戻ってきても、守れないじゃないかって、すげえ自信なくした。今回だって、アニキが身体を張ってくれなきゃ、オレ自身さえどうにもできなかった」 俺は、西覇の頭を撫でて、そんなこたねーよと気休めの言葉を告げた。 「それに、浮気しちゃったしさ……」 「は?!」 「アニキごときでイクとか、最大の裏切りだよ」 ぼそりとつぶやいた西覇に、仕方ないだろと返す。 「俺のアナルは名器なんだし」 ちょっと威張って言うと、西覇ら目を見開き、次の瞬間大爆笑する。 「…………アホだろ……ホント。まあ、色々どうしようもねーから、帰るよ。アニキは、ちゃんと、ヤッちゃんに謝れよ」 まあ、危機管理のこともあるし、許してくれんかもしれないな。 覚悟しないとな。…………怖いけど。 許してもらえなければ、腹でも切るかな。 「でもよ、オマエとのことはいわねーから、オマエも墓までもってけよ」 西覇は、ただ、わかってるよとだけ、答えた。

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