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第7話 部活動強化週間。 4『私に価値はありますか……?』

(杉原先輩……少し遅いですね)  様子を見に行ったほうが良いのでしょうか?とそう思ったとき部室に杉原先輩が戻ってきました。 「危ないなー…叶、部室鍵かけてよ」 「杉原先輩は過保護過ぎです……」 「さっきまでそこに鈴木が居たとしてもそんなこと言える?」 「……ぇ?」  私は間を開けてしまいました。 「叶が俺の様子を見に行こうとして出てくるのを見張ってたよ」  ……。  ……情けないことに未遂で終わりましたが、私は鈴木先生に性的な意味で襲われた経験がありました。 「……杉原先輩を狙っていたのかもしれませんよ?」 「蛍光灯はもらってて、俺は学年指導員に捕まってた。俺を狙うなら、蛍光灯のときには狙いやすいよね?」  ……。  私にそんな価値ありますか? 「…いい加減叶には自分の『可愛さ』を理解してもらわないとこっちが身が持たないよ」 杉原先輩はそう言うと、私はそこにあったことすら知らなかった姿見より幅のある鏡を引き出してきました。 「何ですか?この鏡……?」  私の質問に杉原先輩は直ぐに返事をくれました。 「自分の打つフォームが可笑しくないか確認するための鏡だよ」  そして私に片手を差し出して、 「おいで、叶」  そう杉原先輩にその『言葉』を言われてしまうと私は反射的に身体が動いてしまいます。  すると鏡の前に立たされてしました。  見たくない私の姿と格好良い杉原先輩。 「叶には…何が見える?」  ……嫌ですが見るしかありません。 「杉原先輩と私です…」 「感想は?」 「……杉原先輩が格好良いです」  私が素直に感想を言いました。  ……だよね、自分が『可愛い』とか思ったら『ナルシスト』だし…と呟いていました。 「じゃ質問を変える。…叶と俺は『お似合いの恋人同士』じゃない?」  ……それは…卑怯です。  私なんて『ミックス』ですし、『綺麗』な日本人の杉原先輩にはもっと『素敵』な人が似合うのでは……と思いますが、それを言ったら先輩がキズついてしまうかもしれません。 「……」  私が黙っていると、それを察してくださったのでしょうか、 「…叶と俺は似合うって言ってくれたら、俺は嬉しいよ?」  杉原先輩は私を後ろから覆いかぶさるように抱きしめると、頬に唇を押し当てました。  私は鏡を見ていたので、……先輩の『綺麗な動作』を見ていて一瞬何をされたのか…先輩が私に何をしたのか理解が出来ていませんでした。 「……」 「……意外。叶は鏡が好きなんだ」  杉原先輩が鏡の私に微笑んでいました。

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