47 / 56
第47話 2
『私の下着が一枚もないんです!!』
ハロウィンの前日10/30夜に叶から予想通り電話がかかってきた。
『杉原先輩ですよねっ?!下着、隠したのは』
はいそうです、企んで隠したのは俺でーす……なんて正直に俺が言うわけないデショ?
「どうかな?叶がいつも『可愛く』イタズラに引っ掛かるから、精気を吸う吸血鬼の悪巧みにハマったのかもしれないね」
『何を言うんですか。……精気を吸う吸血鬼なんていませんよ』
叶は声が震えて、『可愛く』くしゃみをしていた。
多分裸なんだろう、だから俺はとりあえずこう言った。
「とりあえず、俺が前にあげたパンティー履いてパジャマ着なよ。風邪引くし」
『女の子の下着は本当に心許ないんです!!……先輩は履いたことがないですからそんなことが言えるんです…』
「だからパンティー履いてパジャマ着なよ」
『……でも…』
叶がモジモジしてるのが分かる声に俺はニヤニヤする。
ホントに叶って『可愛い』なぁ……俺は立派に不審者だった。
すると俺の近くに犬が通りかかり、遊んで欲しいように鳴いていたのを、飼い主に止められた。
「すみません、お兄さん」
「あぁ、とんでもない」
そのやり取りに気付いた叶は電話の向こうで、
『先輩、ひょっとして今外にいますか?』
「いるよ」
『もしかして…私の家の近くだったりします?』
「そう、叶ん家の前」
『何故言ってくれないのですか?!』
「気付かれるの待ってたから」
数分経つと、叶の豪邸の門に執事が現れて、俺を迎え入れてくれた。
さて、今年のハロウィンはどんな結末になるかな?
ともだちにシェアしよう!