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第47話 2

『私の下着が一枚もないんです!!』 ハロウィンの前日10/30夜に叶から予想通り電話がかかってきた。 『杉原先輩ですよねっ?!下着、隠したのは』 はいそうです、企んで隠したのは俺でーす……なんて正直に俺が言うわけないデショ? 「どうかな?叶がいつも『可愛く』イタズラに引っ掛かるから、精気を吸う吸血鬼の悪巧みにハマったのかもしれないね」 『何を言うんですか。……精気を吸う吸血鬼なんていませんよ』 叶は声が震えて、『可愛く』くしゃみをしていた。 多分裸なんだろう、だから俺はとりあえずこう言った。 「とりあえず、俺が前にあげたパンティー履いてパジャマ着なよ。風邪引くし」 『女の子の下着は本当に心許ないんです!!……先輩は履いたことがないですからそんなことが言えるんです…』 「だからパンティー履いてパジャマ着なよ」 『……でも…』 叶がモジモジしてるのが分かる声に俺はニヤニヤする。 ホントに叶って『可愛い』なぁ……俺は立派に不審者だった。 すると俺の近くに犬が通りかかり、遊んで欲しいように鳴いていたのを、飼い主に止められた。 「すみません、お兄さん」 「あぁ、とんでもない」 そのやり取りに気付いた叶は電話の向こうで、 『先輩、ひょっとして今外にいますか?』 「いるよ」 『もしかして…私の家の近くだったりします?』 「そう、叶ん家の前」 『何故言ってくれないのですか?!』 「気付かれるの待ってたから」 数分経つと、叶の豪邸の門に執事が現れて、俺を迎え入れてくれた。 さて、今年のハロウィンはどんな結末になるかな?

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