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第3話

11月29日  令嬢との結婚が正式に決まってしまった。 嫁も仕事も見つかり、すべてが順調だと両親は喜んでいるが、俺はそんな気分にはなれない。 そういえば、山小屋の扉の前になぜか柚が沢山落ちていた。どうしたものか。 11月30日    山小屋の前に、今度は柿が大量に落ちていた。 一体どうなっているんだ? 12月1日    大量の柚と柿の犯人が分かった。 この国では見られない金の髪、目をした少年がいた。 今度は大量の茸を置いていった。 不思議な少年だ。あれはどこの国の少年だろう。 そして、なぜ、俺の山小屋に食物を置いていったのだろう。 12月2日  今日は早めに山小屋に入ってみた。 少年が来たのが分かると扉を開いてみた。 少年は驚いたように銀杏をばらまき倒れた。 それと同時に、少年の頭に獣耳が現れ、尾が尻から生えていた。 余りのことに、俺は声をかけられなかった。そうこうしている内に、少年と思しき化け物は怯えたように俺を見てさっさと逃げてしまった。 あれはなんだ。 まるで狐のような耳と尾だ。 狐が化けて出たのか。もしや、あの蹲っていた狐なのか? 「………」 僕はページを捲る手を止めた。 一体、この日記は何なんだろう。だが、正直、この続きが気になって仕方ない。 「…なんか飲むか」 とりあえず、一旦休憩をしてから読もうと思い、コーヒーを取りに書斎を出た。

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