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第1話
艶のある褐色の肌が、汗に濡れて怪しく光る。
安宿の部屋は薄暗い。電気などついていなくて、ランプの揺れる光が自分の上で腰を振る男の体の輪郭を映す。細身ながらも引き締まった肉体は、綺麗な曲線を暗闇に映し、一枚の絵画を見ているようだ。しかし、それが生身のモノであるとフィオレオはすぐに思い出した。
「くっ ――― 」
きつい締め付けに眉を寄せて、フィオレオが呻くと情欲に濡れた切れ長の瞳が満足げに弧を描いた。
「はぁ、んんっもう、いいぜ?はやく出しちゃえよ?あぅ、ンっ!」
腰を振る男 ―― ガットは、薄い壁などお構いなしに甘い声を上げてフィオレオを煽る。せめてガットが達してからと思い、自分の腹の上でペチペチと音を立てながら揺れている立派な雄を掴み、先走りで粘つく先端を親指で優しく擦ってやる。すると、ビクンッと背を反らして、フィオレオの肉棒を一層きつく締め上げた。
「ひぁあっっ!!あ、あっそこ、好きっいい、もっと擦っ、て … っフィオ、んんんん ―― っ!!」
「っっ!!」
気持ちよさそうにガクガクと腰をさらに激しく振りながら、フィオレオの手の中で勢いよく射精すると、それに合わせてガットの中でフィオレオも吐精した。
ハアハアと荒い息のままガットが倒れ込む。優しくフィオレオはガットの体を抱き留めるものの、ガットとは違い真っ白で筋肉の薄い体には、弛緩したガットがとても重く感じて、思わず「ヴッ」と呻いてしまった。
暫く快楽の余韻で動けずにいると、ガットの左手首に装着されていた腕時計のような機械からピピッと電子音が鳴り、「回復しました」と抑揚のない声が聞こえた。それと同時に、ガットの背中に刻まれていた複数の切り傷がすっと消えていった。
「良かったぁ!綺麗に消えましたね」
フィオレオが安堵したように息を吐いて、ガットの背中を撫でながら声を上げた。
「ん?あぁ、そりゃ、こんなたっぷり注がれればな?」
乱れた黒の前髪を後ろに撫でつけながら、まだ中にいるフィオレオの肉棒をガットがわざと締め付け、ニヤリと笑った。
「うあっ!?ちょちょちょっと、もう回復されたんですから!」
「はぁ?別に俺は、回復関係なくやりてぇだけだし?」
そう良いながら引き締まった尻をゆるゆると動かして、フィオレオの唇をざらついた舌でガットが舐める。たっぷりの精液で濡れて湿った肉壁は柔らかく、萎えたはずのフィオレオはすぐに硬さを取り戻した。
「もうちょっと、付き合えよ?」
「え、あ、ちょっ待って、これ以上は私の方が倒れ ―― 」
「大丈夫だろ?魔法協会は近くなんだし、すぐ回復させてもらえるだろ、っん」
「えぇ?!嫌ですよ!また貴方に担がれて行くなん、てっ!うっ!ガット ――― !!」
フィオレオの叫びも空しく、夜が明けるまでガットは腰を振り続けていた。
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