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第2部灰色の糸 第1話

「啓介ってさ、ずっとゲイ?」 「そうだよ」 「いまは恋人いないの? ひとり?」 「いたら陽とこんなことしてないよ」 「そうだよな」 「それに―――もうずっとひとりだな」 「寂しい?」 「多少はね。陽は? いつから?」 「さあ、気づいたときには……かな。女の子も可愛いとは思うんだけど、勃たないんだよな」 「そっか……」 「啓介は? 38年間一度も女と付き合わなかった?」 「……」 「あるんだ? どうだった?」 「……結婚したことがある」 「えっ!? マジで?」 「……少しだけだけど」 「てことはバイ?」 「……いや。……一度だけだよ。女性としたのは。結局俺が……」 「……やっぱり女じゃダメだった?」 「……彼女のことは女性では一番好きだった。それに……結婚したことは後悔していない。結果彼女を傷つけたけど……少しの間でも幸せだった」 後悔はしていない。 そうもう一度言って切なそうに啓介さんは微笑んだ。 なあ。 本当に、後悔、してない?

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