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最終話
「はぁ…ほかほか」
お風呂から上がって部屋に戻ると、またルピナとお師匠様が追いかけっこをしてた。
元気だなぁ。もう夜なのに。
「ねえラナ、先にごはん食べちゃおうか」
「うん。そうしよう」
ラナは猫だけど元々人間だから、食べる物は僕たちとおんなじ。ニラやネギだって食べられちゃう。
だけど猫舌で、あっついものが食べられないのがちょっと可愛い。
「今日もパン1個でいいの?」
「うん。この姿だと食べる量が少なくて済むから、薄給のサフランにはもってこいだよね」
「ねーっ!」
「スープ、温める前に僕の分 わけといてもらっていい?」
「はーい。なんかこうしてると僕たち新婚さんみたいだね」
「猫だけどね」
猫だけど、結婚するならラナみたいな相手がいいなぁ。
麗しの剣士様…ってのは、流石に高望みだからね。
「ラナぁ、さっきね、僕好きな人に逢ったんだあ」
「好きな人?」
「うん。やっとお名前も聞けたんだ。ラナンキュラス様って言うんだよ」
「ブーッ!」
ん?お師匠様、なに噴いてんだろ。ルピナ作のシチュー、口に押し込まれたのかな?
「僕ね、その人にニ度も助けてもらったんだ。すっごく強くて格好良くて、綺麗な人なんだよ!」
「そ、そうなんだ…///」
「今度逢えたら、好きって伝えてみようかなぁ」
「そ、そうだね…、それは…いいかもね…///」
「なんでラナが照れるの?」
「あ…はは……」
僕がピンチの時に颯爽と現れて助けてくれる王子様みたいな黒髪の剣士様。(本当は僕が王子なんだけど)
今度逢えたらもっとゆっくり話をしたいな。
一緒にお茶飲んだり、木陰でお昼寝したり。
好きって言ったらビックリするかな?
結婚してないって言ってたし、僕にもチャンスある?
ラナンキュラス様も僕のこと 好きって言ってくれたらいいな。
またあの優しい声で「ナズナ」って呼んで欲しい。
あれ?そう言えば、ラナンキュラス様……なんで僕の名前知ってたんだろう?
「ナズナ、どうしたの?やっぱり2人のこと待ってる?」
「あっ、ううん。食べるっ。いただきまーす」
「いただきます」
ま、いっか。今度逢えた時に訊こうっと!
ーおしまいー
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