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エピローグ
ゆっくりと目を開き、サイドテーブルの方に目を向ける。
そこには白銀の狼のレヴィ王子と、婚約者の白金に美しく輝くノア様の写っている写真立てが置かれている。僕が入院している間にお二人の婚約パーティが開かれた。その時の写真だ。
あれからエリィ様が話してくれた。僕がエリィ様だと思ってたのは魔法で変身していたレヴィ様だったということ。ノア様を守るために、この屋敷にいらしていたのだ。
「目、覚めたか」
僕の手をずっと握っていてくれた若様の鼻先が、僕の鼻に優しく触れる。
「プロポーズはもう少し先のつもりだったんだがな。あの二人を見ていたら、もういいかって思ってしまった……早く元気になって。ルイ」
僕との子供の頃の口約束を、律義に覚えてくれていたなんて。
優しい微笑みに、ぽろぽろと、涙が止まらない。
僕の大事な人は、今、目の前にいる。凄腕の魔法使いで栗色の狼で、世界で一番素敵な人だ。
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