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第1話 俺は異世界で「にゃぁ」と鳴く

突然だが、どうやら俺……俊(シュン)は『魔力がある猫』の姿で魔法が存在する異世界に"転生"した。 「にゃぁ」 小さい猫手には桜餅な肉球。 後ろ足も同様にぷにぷに。 そして手足と尾の先と顔の口回りは白で、後は黒。 大きな瞳の色は緑。 そんな俺は、極小のおチビなオスの仔猫だ。 何の変哲も無さそうな猫の俺だが、この世界の猫では"上位"種だ。 それを分けるのは『魔力』。 そう。俺は前述したが、『魔力ある猫』なのだ。 そして、珍しいのだ。 更にだ、魔力持ちの猫は『人型』になれるらしい。 この情報は俺の"猫"の師匠である、ハーク師匠の情報だ。 そんな師匠も魔力持ち。 俺が街で一人でオロオロと人ごみに右往左往、僅かな物音に無駄に警戒威嚇を繰り返していた異世界初日に、本当に運良く出会えたのだ。 師匠の話だと、「魔力に呼ばれた」そうだ。 暗い灰色の瞳で睨まれた時、俺は一睨みで「ぴゃ!」ってオシッコ漏らしちまった……。 だってその暗い灰色の瞳は、雷を予感させる曇った空を思い起こす色だったんだ。 ちなみに今の俺の消したい過去、ナンバーワンの出来事だ。 だって、師匠……デカイんだもん……。俺から言わせれば、"山"だ。山。 そんな師匠はここら一帯のイカツクでかいボス猫。しかも魔力持ち。納得な存在感だ。 フルフルと震えながら固まってシッコ漏らした俺に師匠は「コイツに戦闘は無理」と、瞬時に戦意無しと判断されて首根っこを咥えられ、猫の広場に連れていかれて色んな猫に紹介されて仲間だと認められた。 それから皆は師匠の事を「ボス」って呼ぶけど、俺は「師匠」って呼んでる。 "魔力"の使い方や、人間達の事、世界の事を色々教えてもらっているからな! そして…… 『この世界の最大魔法都市で優しいご主人様と使い魔契約を交わして、三食昼寝オヤツ付きの安全雇用してもらう!』 これが俺の今の一番の目標だ!! 「にゃぁ~~! やったるにゃぁ!!」 ヒゲも尻尾も耳もピンビン立てて、ギラギラ漲る雇用意欲を愛嬌に変えて、その日を一日も早く迎える為に今日も魔力の訓練を頑張るんだー!!!

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