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第1話

 男は両腕を後ろ手に縛られると、一筋の冷や汗を垂らした。そうして、怯えた両目で愛しい男を見やる。 「…僕、怖いことしか思いつかないんだけど…」 声ははしたないほど震えていた。常軌を逸した目の前の男が一体、これから何をやるのかが分からない。違う。想像がついてしまうから、怖くて仕方がなかった。自分の愛ではもう。きっとこの男は、治らない。今は自分を見てもくれない。  不意にスパッと音が聞こえたかと思うと激痛が走り、悲鳴を上げた。 縛られた右腕を二の腕部分から一気に切り落とされていた。 真っ赤な鮮血が勢いよく吹き出す。鋭い痛みに、頭が警告音を鳴らして、ガンガン五月蠅い。痛い。自分がおかしくなりそうだ。そうして、ぐらっと体が傾いたかと思うと、さらに男は「あ。」と思った。思ったが、腕を縛られ、さらに切り落とされた自分の今の体勢ではもう無理だと悟った。 男は微笑んだ。 ただ愛しい男へ微笑みを向けた。 重い音が聞こえた。

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