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繋がる空1
ここに越してきて5年。
付き合い始めてから11年。俺は28に、はるは37になった。
朝起きて隣の体温を確認することもなく、ダラダラと起きて朝食の支度をする。
こんな生活を夢見てこの家を建てたわけじゃないだろうけど、結果俺一人がここに住んでるようなもんだ。
俺の職場は歩いて3分。
車に乗ることもなく、2台の車は車庫の中で眠ってる。
週末には俺の買った車でドライブってことは最初の1年だけだった。
はるが居なければ独りでドライブなんてすることもない。
ほんとはるが居なければ無趣味で何にもないんだ。
はるの世話を生き甲斐みたいに暮らしてきたんだから仕方がないんだけど。
ぼんやりとコーヒーカップを手に、はるが手入れをした庭を見る。
帰って来る度一番に庭に出て草取りや水撒きを楽しそうにしている姿が浮かんでくる。
俺に纏わり付いて離れないはるは可愛い。幾つになってもはるは幼い面を戸惑うことなく見せてくれる。
それが堪らなく愛しい。
毎日抱きしめて眠りたい。
そんな叶わない想いを胸の奥に隠していつもと変わらない朝の支度を始めた。
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