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繋がる空24
頬をするりと撫でて玄関へと足先が向く。
「じゃあね、はるさん。また来ます」
酔って訪ねてきたはずの足取りはまともだ。
バタンと閉まったドアを見て肩の力が抜けた。
あいつの目的はなんだったんだ。ここに入って俺のなにかを確認したかったんだろうことは安易に予想はついた。
あきの気配を確認したかった。本当に恋人がいるのか。
どんな奴なのか。俺の弱みを握るため。
起こされたフォトフレームを見れば嬉しそうに笑うあきがいる。
会いたい。
あきに会いたい。声を聞いて体温を感じて抱きしめて欲しい。
隣に置いたスマホをじっと見つめた。
手を伸ばす勇気がない。弱音吐けなくて吐きたくなかったのは、強がりとか甘えとかてしまったのか俺の心はキシキシと痛んで悲鳴をあげた。
結局、あきに電話もメールでさえ送ることができなくて朝を迎えた。
俺が起きる前に必ずくるメール。
体調はどう?
食事はちゃんと食べてる?
仕事頑張りすぎないように。
愛してるよ。
その言葉に寂しさが襲ってくる。
会いたいよ。
そばにきて。
俺の名前を呼んで?
愛してる、あき。
最後の文字がいつも打てない。その代わりにスマホを握りしめて囁くんだ。
頑なに何を張り詰めてるのか。
素直に言えばいい。
『会いに来て』
その一言がもう言えない。
今日は休みだから日帰りで帰ることなんて簡単なのにそう思えばズシンと身体が重くなる。
外はいい天気で洗濯でもしようかと立ち上がった時、着信を知らせる音が鳴る。
画面をそっと覗きこみながらあきじゃないことを祈っていた。
このままでは俺達ダメになりそうだと背筋に冷たいものが伝った気がした。
画面に表示されてるのは「内田」の文字。
安堵する自分に溜息を吐きながらスマホをタップした。
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