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第3話
俺はそれからブルーの後を付きまとった。
嫌がるだろうと覚悟していたが、ブルーは研究以外のことは本当に興味がないようで、俺が傍にいることを歓迎もしなかったが、拒絶もしなかった。
ブルーはいつでも研究のヒントを思いつくと紙とペンを欲しがった。この時代に電子端末の電源を入れる時間も惜しいらしい。だから俺はリュックに書きやすいボールペンと大量の白紙を入れて持ち歩くようになった。
ブルーが研究にのめり込んでいる時はペンを渡しても上の空だったが、熱が冷めるとちゃんと礼を言うところもすごく好きだと思った。
ブルーと知り合って半年たった夜。
俺はどうしようもないくらいの感情を持て余し、夜中に酒を飲み、勢いでブルーの実家に押しかけた。
家族は皆寝ているから静かにしてくれとブルーは言ったがそれでも俺を無理に帰そうとはせずに、玄関先で話を聞いてくれた。
酔っぱらった俺はとぎれとぎれ、こんな苦しいほど人を好きになったことはない。どうか付き合って欲しい。もし付き合えなくても友人関係は壊したくない。という無茶苦茶なことをぼそぼそと長時間しゃべった。
「ウィル。君のことは嫌いじゃないよ。でも僕、恋愛なんてしている時間があるなら一分でも多く研究したいんだ。ごめん」
「ううん。話、聞いてくれただけでも嬉しい。……このまま友人としてよろしく」
俺は振られたくせに、男だからという理由だけで俺を拒絶しないブルーを更に好きになってしまった。
「友達のままって……それでウィルは辛くないの?」
ブルーの問いかけに俺は無言で勢いよく首を振った。
「わかった。また明日からよろしく」
そう言ってブルーが手を差し出した。
俺はそのブルーの右手を震える両手で包んだ。
ブルーはそんな俺の行動を見ても咎めなかった。俺はそれを良いことに冷たいブルーの手を温めるように、いつまでも握り続けていた。
ブルーはそれからわりとすぐ論文で大きな賞を取った。その賞の歴代の受賞者の中で、彼は最年少だった。
マスコミはこぞって彼を特集し、一躍ブルーは時の人となった。
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