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第4話

「ブルー本当におめでとう」 「ありがとう」  受賞のお祝いを俺たちは二人きりで、俺の隙間風の拭くボロアパートで行った。  受賞をきっかけに卒業後ブルーは大きな企業で研究職として働くことが決まった。 「……受賞はウィルのおかげだと思ってる。本当にありがとう」  乾杯のシャンパンに口を付けたブルーがそう言った。 「そんな、俺なんて何にも」 「いや、ウィルが俺のことを支えてくれたから、ここまでこれた。俺が研究のしすぎでろくに休まず高熱を出した時も、研究にいきづまって自暴自棄になった時もいつもウィルが俺を助けてくれた。……ウィル何か俺にしてほしいことはない?俺は君に何でもいいからお返ししたいんだ」  ここでそんなつもりで支えてきたんじゃない。気にするなと言えるほど俺は聖人君子ではなかった。 「何でもいいの?」 「うん」 「なら、キスしてほしい」  ああ、絶対に引かれたと俺はぎゅっと目をつぶった。 「分かった」  その声に俺が「えっ」と目を開くと、ブルーが迷いのない足取りで俺に近くのが見えた。俺の後頭部を彼の日頃の行いからは想像できないほどの荒々しさで掴むと、口づける。 俺が控えめに舌を入れると、それもブルーは受け入れ、自分の舌も大胆に俺のに絡めた。  俺の口角から垂れるどちらのものかも分からない唾液を、そっと親指でブルーが拭った。  俺と見つめあいながらブルーが言う。 「ウィル。長いこと待たせてごめん。俺たち付き合おう」  頭の中で祝福の鐘が鳴り響き、俺の瞳から一筋の涙が落ちた。  そんな俺のまぶたにブルーが口づけを落とす。  その日ブルーと俺は初めて同じベットで朝まで過ごした。

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