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第11話
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何度、絶頂を迎えたかわからない僕は朦朧としたまま星空を見上げていた。
こんなに手厚く可愛がられてもなお、やはり自分にそんな価値があるとは到底思えない。
でも、目の前で微笑むシュウを見ていられるなら、一緒にいられるなら……それが例え奈落の底でもいいような気がしていた。
その金色の眼差しはそれだけ魅力的だったのだ。
シュウはまた目を瞑ると、自分の手に向かい息を吹きかける。
すると、先ほどの大きな鎌が現れた。
「……それ、痛くない?」
「痛くないよ。怖い?」
「……ちょっと怖い」
するとシュウはおまじないの様な軽いキスを落とす。
「大丈夫。俺を信じて」
頷きながら僕はおずおずと手を出した。
「……手、繋いでてくれる?」
「わかった」
シュウはその大きな鎌を振りかざす。不思議と恐怖は消えていた。
深呼吸して、シュウが持っている鎌を見上げる。
そして鎌が振り下された瞬間、一瞬にして視界が全て暗闇に包まれた。
それと同時に音も光も何もかも閉ざされたかの様に……全て無くなった。
痛みもなく、あるのはシュウの存在だけ。
そして意識がとても深い所へと潜っていく様に遠ざかっていく。
堕ちていくって、こういう感覚なのか。
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