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第1話

「……今日も選ばれなかった…」 御主人様は俺を買った夜に"マーキング"を施して以来、俺に全く触れようとしない…。 今夜の相手は…いや、今夜の相手"も"、エルン…。俺の二コ上の男だ。 成人しているが勝気な釣り目の少年らしい面立ちが好みのど真ん中なのか、よくエプロンをプレゼントされている。 エプロンの枚数は俺等…使用人達のステータスになるから、多いければ多いほど良い。 信頼、情愛…など複雑な感情が一枚のエプロンに込められ、御主人様から賜る。 そして、エルンはそれをこの屋敷内で最も多く獲得しているのだ。 …今日だって、先日プレゼントされた薄水色のフリル付きを着ていて、とても似合っていた…。 「…俺は…真逆なんだよな」 背丈は似ているけど、童顔で気弱そうなハの字眉に、垂れた瞳。 エルンが幾枚も持っている、フリルのエプロンなんか…一枚も持っていない。 エプロンは最初に渡された数枚とそれからの必要最低限の枚数、それに誕生日毎に配布されるもののみ。 「―…十九歳の御主人様に"主人付きとして"買われた、十四歳の時は、屋敷で一番小さくて…ガリガリで、マーキングも"やっと"だったのに…」 怖い、痛い、嫌だ、変態…と泣いて暴れて、シーツを破って作った即席の紐にぐるぐる巻きにされて…散々抵抗したマーキングだったな…。 最初は抵抗した俺だけど無理矢理口内に長大なペニスを突っ込まれて、所有のマーキングとしての精を放たれた時…どんどん真逆の感情に支配されたんだ。 "精"を放つ瞬間の御主人様の色気と、放出された"熱"に…子供の俺は未知のショックを受けてここでほぼ即堕ち状態に…。 俺はそこで密かに簡単に堕ちたけど、御主人様は逆に俺がそこで"面倒臭くて嫌い"になったのではないかな? だって流血滴る生傷だらけのマーキングの後、俺は体力を使い果たして一週間高熱にうなされたんだ。 俺より先にこの屋敷の使用人として働いていた薄翅人のエルンが、寝込む俺の面倒を見てくれた時に話してくれたんだけど、本当にヤバかったらしい。 何度も大量に喉までペニスを突っ込まれて注がれ、ペニスと精液で喉を詰まらせてぐるぐる巻きの俺は白目を剥いて痙攣状態で気を失ったのだそうだ。 御主人様が俺の異変に気が付いて、慌てて夜中に医者を呼びに行かされたとエルンが話してくれた。 …そこから助かったのは、御主人様がわざわざ高価な薬をたくさん使ってくれたから…で…。 本当に堕ちた決定打は最後の治療行為だ。何年も仕えて信頼関係のある古参ではなく、真逆の雇用し立ての安い薄翅人の子供にここまで篤い行為を施すなんて、普通ありえない。 …まぁ、治療行為は"責任"を感じたから…かもしれないけど。 それから普通に使用人として仕え、普段の彼を考えてみれば、基本御主人様は優しい性格だ。 それに一般常識としてまだ成人していない俺を直ぐに手放しては外面が悪から、俺をまだ使用人として雇ってくれているに違いない…。 …しかし、そろそろ俺も"成人"として扱われる、"十八歳"となる時期が近づいて来た。 成人したら…解雇されたりして…。 だって最近、無言で俺をキツク睨んでいる事が多いからだ。 階段の下のホールを歩いている時に、視線を感じた先に居た御主人様のあの狩猟する様な視線…。正直、本当に怖かった。 そんな御主人様は虎の獣人で軍人として優秀、極上の毛並みの美男子だし家柄も良くエリート街道まっしぐらなのだ。 …どう思われてようと、自慢の御主人様だ。

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