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第1話

涼しすぎるほど涼しい目元に色気を添える泣き黒子、少しふっくりとした唇は常に引き結ばれていてピクリとも持ち上がるところを見たことがない、通った鼻筋も細い顎も白い肌もさらっさらの黒髪も全てが美しくて、颯爽と歩くその姿に男女問わず見惚れる そんな学年主席、佐倉隆介はその涼しすぎるクールな性格から氷の王子様と呼ばれている 今年2年になったばかりの時は少しばかり大騒ぎになってた、新入生の女子(一部男子もいたようだが)が揃いも揃って告白に現れて、教室の前に順番待ちの列ができていたくらいだ しかし、入学式から2ヶ月告白騒動はすっかり落ち着いた 騒動を落ち着かせたのは同じく2年の山崎祥太郎 校則を一切守らない派でないでたちに赤い髪、一見人懐っこい笑顔を浮かべて話しやすいフランクなやつだが、キレれると手がつけられないまさに狂犬 学校に入学したと同時に当時3年の番長(古い)をボコボコにして今やこの辺りでは敵なしと噂されている そんな狂犬と僕は実は同じクラス…もちろん話したこともなく相手は僕の名前を知っているかすら不明 「タロ、帰るぞ」 教室の入り口に現れた氷の王子様にクラスがざわめく…わけもなく 他のクラスで起こったことならば大騒ぎになりかねないが、このクラスではいつもの出来事 「タロ」と呼ばれて寝起きで少しかったるそうに立ち上がったのはまさかの山崎祥太郎 犬みたいな呼ばれ方に怒るでもなく、嬉しそうに氷の王子様に近づいていく 「リョー、遅かったね」 「今日、日直だった」 そう、この二人非常に仲がいい…というか、ぶっちゃけデキている 教室を出る間際お互いに顔を寄せてキスをする始末、なんならがっつりしたが入っている… 氷の王子様告白騒動はこの二人の関係によってあっという間に鎮火した 1年から見てきた僕たちは告白騒動と恋破れて落ち込む女子(一部男子)を結果はわかっていたとばかりに生暖かく見守っていた まぁその中から腐ってよりパワフルに復活を遂げたゾンビーもいたようだったが… この二人の関係はすでに全校生徒公認、イケメンな二人のセットは目の保養になるとか何とか 「おーい、佐倉!」 「なんでしょうか?先生」 帰ろうとした二人…佐倉隆介に声をかけたのは内のクラス担任 「原先ー俺たちこれから帰るんだけどー」 「すまないが、単位の危ないもの向けに課題を出している これがその内容だ」 さすが原先生、山崎祥太郎は丸っと無視だな 山崎祥太郎は基本的にはフレンドリーで、キレること滅多にない 入学したときのも、3年の不良グループが佐倉隆介に少々行きすぎたちょっかいを出したのが原因らしいという噂だ 「山崎はすでにギリギリなんだ 悪いが課題を今週末に提出させて欲しい」 「…お前、まだ今年度始まって2ヶ月だぞ?」 「ははは、春って眠くなるじゃん? 夜は忙しいしさぁ」 「お前たちの《せいかつ》はどうでも良いから課題を出せいいな」 そう言って原先生はくたびれたサンダルをパタパタと鳴らしなが廊下の向こうへ行ってしまった 二人の関係は全校生徒公認ではなくて、学校公認のようだ… 今、僕を含めてクラスメイトは皆生暖かい目で二人の背中を見送っているんだろう

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