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第76話
寒い廊下から教室に入るとあたたかな空気が身を包む。
あたたかさに末端にも血液が回りだした。
「おはよう」
「田上くん三条くんおはよー」
A組は男女の仲が良い。
ある程度固定グループはあるがお互い挨拶もするしくだらない話しもしあう。
他のクラスに友達がいないから比べようがないが、中学よりもフレンドリーで最初はびっくりした。
それこそ男女で言動で差をつける方がおかしいと思う程。
最初こそ敬語だったが今ではタメ口で話している。
田上も吉田も良い友達だしこのクラスになれて良かった。
窓際の自分の席に座ると少しひんやりする。
これからの季節窓際は少し寒いけど外が見えるから好きだ。
「間に合ったー!」
「吉田くん、おはよう。」
「知佳ちゃん!
こいつ10分前までふとん中に居たんだぞ。
ほら。」
「うわ、吉田くん最低ー」
「知佳ちゃんなんで!?」
楽しそうな会話に耳を傾けながら窓の外をなんとなく眺める。
あ、先生…
職員用駐車場から近道の中道を通って足早に校舎へ消えて行った。
長岡がどういうつもりでいるのか解らない。
遊びや冗談にしてはリスクが高過ぎる。
あの長岡が考えもなしにあんな事をするとは思えない。
それに…
同性に犯されたと言うのに嫌悪感が…
「なぁ、三条は俺の味方だろ?」
「吉田最低」
「三条まで!?」
はははっと教室内に笑いが溢れる。
このクラスの雰囲気が好きだ。
今は考えたくない。
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