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第75話
昼飯のパンを買いにコンビニに入ると見知った頭が見えた。
「あれ?
三条が朝からコンビニなんて珍しいな。」
「おはよう。
優登が飲み物のおまけのフィギュア集めてて手伝ってんの。」
奥を覗いてこれとこれか?と選別しているその顔は優しい兄の顔だった。
良かった
今日は元気そうだ
なんだか最近の三条はどこか上の空で心配していた。
そうだ、と今しがた吉田から来たLINEを見せる。
うん
笑った
レジに並んでいる最中もくだらない話に花を咲かす。
良かったと三条を見ていたら目が合ってしまった。
やべ、バレた…
「ん?」
「あ、いや、三条最近なんか元気ないって言うか、どっか上の空だったから。
元気になって良かったなって。」
三条は高校に入学してはじめて出来た友達だ。
勉強もスポーツもそつなくこなす。
でも、それは才能だけでなく努力をしてるのも知っている。
ただの優等生じゃない。
弟思いの優しい友人。
自慢の友人。
照れた様に笑う三条に釣られて頬の筋肉が緩んだ。
男同士でなに照れてんだろーな。
きっと今日の昼飯は美味いな。
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