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第110話
「あの、終わりました。
うどんご馳走さまでした。
美味しかったです。」
「そりゃ良かった。
こっちこそ洗い物助かったよ。
ありがとな。」
読んでいた本にスピンを挟みソファを軋ませ体制を正す。
座るかと促されるが床に腰を降ろした。
「床寒くないか?」
「大丈夫です…」
帰る時間が近付いてくる。
バス停に行かなければはっきりとは分からないが、お昼前にはここを出るだろう。
もう少し、いたい…
女の子とも付き合った事がなく、自分がこんなに女々しいんだと初めて知った。
「あの…あ、服!
お借りてた服…紙袋に、あれ…」
「あぁ、あれ俺のか。
ちゃんと受け取ったよ。
わざわざありがとな。」
腕を伸ばし、わしゃわしゃと髪を撫でる大きな手にドキドキする。
胸がきゅぅぅっ苦しくなる。
変だ
俺、どうしたんだろう
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