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第111話

もう少ししたら帰さなくてはいけない。 「…なぁ、三条。 本、好きか」 小さく頷く三条に、さっきまで読んでいた本を手渡す。 耽美小説。 一見非道徳的にも見える究極の美。 「でも…」 「何度も読でるやつだから気にすんな。 読んだ事あるやつか?」 「いえ…」 「じゃあ読んでみ? 自分の中の引き出し増えるぞ。 な。」 手渡すと細くて白い指が表紙をそっと撫でた。

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