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第113話

自分の日常。 誰かの日常。 同じ時間軸に存在している。 だが、それは大多数の人間とは交差しない。 一部の極限られた人間とのみ交差する。 国が違えば、職種が違えば、生活パターンが違えば、些細な事でそれは姿を変える。 教師と生徒。 それだけの交差。 それが、酷く脆いものの様に思えた。 ベランダから見える真っ赤に染まる山脈にあの日のにおいを思い出す。 紫煙を燻らせ肺いっぱいに吸い込んで吐き出した。 「まず…」 吸いかけを携帯灰皿に押し付けまだ半分程残っているそれをくしゃりと握り潰し、室内のごみ箱に投げ捨てた。

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