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第265話
「そういえばどうしたんだ?
平日に会いたいなんて珍しいな。」
「あっ、コレ…あの…バレンタインの…」
しどろもどろ言葉を繋ぐ三条の手にはシックな色合いで包装された小さな箱。
そっと差し出されると長岡は目を見開き驚いた。
「貰って良いのか?」
こくこく首を縦に振って意思を示す。
長岡は箱を受け取ると早速包装を開け、中身を取り出した。
頬を染め心配気に見詰める恋人の目の前で1粒口に入れる。
「いただきます。
ん、美味い。」
リキュールの利いた大人な味に濃厚な口溶け。
少し酸味のするそれは甘過ぎずとろりと溶けた。
「ありがとな。」
ちゅっ
口にキスを落とすとなんとも言えない可愛らしい顔をする。
その照れた様な嬉しそうな顔に顔を見れただけで1日の疲れが吹っ飛ぶようだ。
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