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第267話

用を足し手を洗って出た所で、授業を終え準備室へと戻る最中の長岡とばったり会ってしまった。 「あ、こんにちは。」 「こんにちは。 こんな所にどうした? …トイレ?」 「いや…」 口ごもっているとにやっと口角が上がった。 きっと理由に検討がついたのだろう。 細められた目は教師の目ではない。 あの目をしている。 へぇと唇をなぞる指から目が離せない。 大人の色気と言うのかぞくりと腰が粟立つ。 ここが学校だとか相手が教師だとか自制する材料はいくらでもある。 それでも目の前の男から与えられる快感を思い出すとその波にのまれてしまいそうになってしまう快楽に弱い自分。 理性を持った人間に生まれたはずなのに本能の従いたくなる。 唇をなぞっていた指がゆっくりとポケットを突いた。 コツコツと音がするのは携帯だ。 「後でな。」 後で 頷くと大きな手が髪を撫でた。 ドキドキと心臓が五月蝿い。 どう頑張ってもこの人には敵わない 寒いし昼飯食おうかと先を歩く教師の後を追いかけた。

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