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第437話
体液やらローションやらを洗い流しベッドに横になる。
眠かったら寝ても良いぞと言い残し浴室へと消えた恋人のベッドは主に似て大きく、三条はその隅で丸くなっていた。
うとうとと微睡みの中にいると微かに足音が聞こえる。
長岡が戻って来たのか。
視線を動かすと、肩にタオルをかけた恋人が部屋に入って来た。
「起きてたのか。
ほら、水。
ちゃんと水分摂らねぇと脱水すんぞ。」
「ん、ありがとうございます。」
戻ってきた家主はベッドを軋ませながら隣に腰掛けた。
ひんやりしたペットボトルを額に当てられ、その冷たさが心地良い。
冷たくて気持ちいい
「で、遥登は大人なのかな?
子供なのかな?」
「……中間、です…」
「じゃあ、どっちもだな。」
「?」
頬に触れる長岡の手がやけに冷たい。
まるで氷水に浸したみたいだ。
なんでだと起き上がると目の前に突き付けられた甘いにおい。
「あ」
「カリカリくんの大人味。
大人ならこっち。
子供ならソーダ。
遥登は中間だから半分ずつ食うか。」
悪戯っぽく笑う長岡はまるで子供みたい。
「どっちから食うかな。」
「正宗さんは大人ですか?」
「遥登の前じゃただの人だよ。
大人も子供も関係ねぇの。」
この人らしいと笑いながら、三条は隣にすり寄る。
ほら、と突き付けられたのは大人味。
黄色いそれにかじりつくと口の中いっぱいに広がる夏の味。
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