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第440話

「いけいけーっ!」 「がんばれー!」 太陽がギラギラと照り付ける中、体育祭が開催された。 一種目から100m走だなんて悪趣味だ。 「三条ー! お前ならいけんぞ!」 「三条ーっ」 田上と吉田の声に苦笑を浮かべながらスタートラインに立つ。 体育の授業で計測した記録の早い順で、三条は100m走を任された。 身長がある分リーチも長く抜擢された帰宅部の三条に、 『一等ならご褒美』 長岡のその一言が、静かに火を付けた。 「位置について、よーい」 パンッと破裂音と共に硝煙のにおいが辺りに広がる。 それと当時に、三条は右足で地面を勢い良く蹴飛ばした。 「三条ー!」 「新道! 負けんな!」 「横田!」 運良く陸上部こそいないが、同級生に三条は食らい付く。 せめて最下位は避けたい。 選ばれたからには貢献したい。 「三条ーっ!」 「しんどー!」 どちらがゴールテープを切ったのかと、荒い息で振り返る。 「あの…、殆ど同着で…」 体育委員の困った声に同着の新道と三条は顔を見合わせた。 直ぐ様駆けて来た体育委員長と体育教師。 じゃんけんにしようかと微かに体育教師の口から聞こえたら言葉に、周りからブーイングか飛んだ。 「じゃあ最後にもう1本走るか。 2人共大丈夫だな?」 「はい…」 新道の声も沈んでいる。

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