479 / 1273
第479話
屋台で腹を満たし、人の波に身を任せ花火大会へと場所を変える。
すれ違う人達は浴衣を身に纏ったり下駄がカラコロと鳴っていたり、吹く風はぬるいが風流で清爽だ。
田上おすすめの公園へ向かうと数組のグループがいたが穴場の様だ。
少しの間話をしていると、破裂音が空気を揺らした。
明るく光る空を見上げる。
「おー、でけぇ」
「すげぇ」
空に大輪の花を咲かせ、ぱっと散る一瞬の潔さ。
辺りはまた暗闇に包まれ、数秒後また花が咲く。
「知佳ちゃんと見たかったなぁとか思ってんじゃねぇの?」
「来年こそは…」
「うわ、マジで思ってた。
三条くん寂しいな。」
「寂しいな。
田上、2人で見よう。」
「半分冗談だって…!
田上、三条、一緒に見ようって…!」
田上とケラケラ笑いながら吉田をからかう。
「ふはっ、半分って吉田正直だな。」
「友達は友達だし、彼女は彼女だろ。
そんなのどっちがどうとかそういうのじゃねぇし。」
「はいはい。」
そんな事みんな解っている。
解っていて遊んでいるのが楽しいだけ。
くだらない話をしたり、花火をカメラにおさめたり、あっという間に時間は過ぎていく。
明日から夏休み。
友人達と会う時間もぐっと減ってしまう。
ともだちにシェアしよう!