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第532話

「うんまーっ」 喉元過ぎれば…と言うやつなのか、それともきっぱりとテストの事は忘れ明日からの事しか考えていないのか、晴れやかな顔をした友人2人は美味しいそうにハンバーガーに食らい付いていた。 恒例のモフは今日も美味しい。 「三条のエビカツだっけ? 一口交換しよ。」 「エビフライな。 ん、美味いよ。 吉田のなに?」 「スパイシーモフチーズ。」 ぱくりとかじりつくと、ピリリとスパイシーなソースにチーズがトロリとまろやかで美味しい。 つい期間限定を頼んでしまうが、レギュラーメニューも良いなと、口の端に着いたソースを舌で舐めとりながら考える。 「はーっ、テストも終わったし明日は1日中寝てる。 来週は球技大会だし、だらけられるの最高。」 「1日目敗退したら2日目する事ないもんな。」 メロンソーダを口にする田上は行儀悪くストローを噛んでいる。 吉田からハンバーガーを受け取りながら自分もそれを返した。 「でも、勝ちたい気持ちもあるよな。 優勝したら長岡なんか奢ってくんねぇかな。」 「独身だろ。 給料なんに使ってんだ。 あ、彼女と同棲とか?」 「リア充かよ。 でも、あの顔だしな。」 笑えない話題にさっきまで美味しかった筈のエビフライが飲み込めない。 モグモグと口を動かしてひたすらに噛み砕く。 「あー、リア充羨ましいな。 彼女欲しー。」 「まだ言うか。」 なんとか咀嚼し、アイスティーで無理矢理ごくんと飲み込んだ。

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