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第549話

昼休みを知らせる終鈴と共に散らばる生徒達に混じって準備室まで戻って来た長岡は採点や事務処理を済ます為に、簡単に昼飯を済まそうとカロリー補助食品やゼリー飲料の入った袋を漁る。 ゼリー飲料で腹を満たせたら楽だがそうもいかない。 あまり動いていないとは言えども、今日は腹は空く。 腹減った… 足りねぇ… しとしとと雨がコンクリートを暗く染め上げる中校外に出掛けるのは手間だが空腹だ。 生徒達より動いてない筈なのに。 やっぱり昼飯買いに行くかと重い腰をあげ学校裏のコンビニに向かった。 おにぎりやパンなんかは安くて手軽だがそれだけはなんだか味気ない。 だからと言って、弁当と言う気分でもない。 食品売り場をぐるりとまわり結局サンドイッチと野菜ジュースの緑と紫を手にレジへと向かった。 レジ横には我が物顔でおでんや中華まんが鎮座している。 短い秋はもう終わりなのかと会計を済ませ学校へと来た道を戻って行く。 「あ、長岡先生居た。 解らない問題あるので教えてください。」 「あぁ、じゃあ中どうぞ。」 買って来たビニールを隠す様に準備室に促す。 昼飯がまだな訳ではないし、食べられなかったら明日食べたら良いだけだ。 採点途中の回答用紙を輪ゴムで纏め、お世辞にも綺麗とは言い難い卓下の棚に隠すと、生徒が持ってきたノートと教科書に目を通す。 「ここなんですけど…」 昼休みなんてあってない様なものだ。 それでも教師を続けているのは何故だろう。

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