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第562話
帰宅すると身体中の筋肉がだらける。
もうクタクタだ。
1日中フル稼働させていた頭は部屋に着いた途端、働かなくなる。
鞄と上着をソファに投げるとヤカンに水を入れて火にかけた。
炊事場の小さな明りの下で、ポケットからスマホを取り出して時間を確認すると21時になろうとしている。
腹が減ったが作るのは気分じゃない。
というか、もう寝てしまいたい。
シャワーすら億劫だ。
暫くすると、シュンシュンと蒸気を上げるヤカン。
自分のマグカップにインスタント珈琲を入れお湯を注ぎ、口を付けようとしてその手を止めた。
冷蔵庫から牛乳を取り出すと、真っ黒い液体に砂糖と牛乳を追加してから口にする。
冷たい牛乳で温くなったそれ。
何時もあの笑顔が飲んでる味は甘くて温い。
それだけで、なんだか疲れが少し軽くなった気がする。
糖分が効いたのかそれともあの笑顔か。
自分にとってどんな栄養剤よりうんと効果がある。
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