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第575話

ジュワジュワと焼ける肉にソーセージ、野菜にわっと箸が伸びる。 肉の前ではみんな笑顔だ。 「うま。」 「美味そうに食うよな。」 「先生も来れば良かったのにね。」  「ね。 先生だってA組だし、先週の準備来てくれたし。」 もぐもぐと肉を食べていると隣の女子達の声が聞こえてきた。 確かに来れば良かったのに でも、今日から日本シリーズだしな 急いで仕事を片付けて飲みながら観るんだろうな 簡単に想像出来るその姿に笑みが溢れそうになる。 「三条、玉ねぎ焼けた。 椎茸もやる。」 「あ、俺もやる。」 田上は自分の苦手な椎茸も三条の前に取り分ける。 チャンスとばかりに吉田までにんじんを寄越してきた。 「ありがとう。 でも、食えよ。」 「えー、椎茸はさ…」 いかに椎茸と自分の相性が悪いかを熱弁する田上の声を聞き流しながら、肉を食べる。 てか、その野菜俺が選んだやつなんだけど ま、良いか 窓際の時計はプレーボールの時間を指していた。

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