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第584話
同じ日本なのに、どこかで異国の様な不思議な町並みが広がる窓の外を眺めているのも飽きない。
むしろ楽しい。
空の色さえ鮮やかに見える。
「…っ」
隣を見ると何でもない顔をした長岡が欠伸を噛み殺していた。
すりすりと脚が触れあう。
故意と解るそれにどんどん体温が上がっていく。
それ以上には進めない状況での触れ合いに興奮するなんてはしたないと頭では解っていても、身体は正直だ。
「すげー。」
「ねぇねぇ、写真撮ろ。」
友人達の声が大きく聞こえる中身体の芯があつくなる。
隣席には真面目な教師の仮面を被った恋人。
それだけで発情してしまうあさましい身体。
どうしよう…
あつい
トンっと革靴が弾かれはっと顔を向けてしまう。
いけないと視線を反らそうとして、長岡の視線が下を向いた。
それを辿ると長岡のスマホが差し出されている。
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