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第601話

必死に酸素を取り込む三条の腹を自分のシャツで拭うと、ベッドから脚を投げ出す。 やっちまった… 結局4日我慢出来なかったと、賢者タイムも手伝って反省していると背中に暖かな体温を感じた。 「正宗さん…」 「どうした。」 「あ、の……噛んで、ほしいな、なんて…」 小さな声で溢した言葉はそれでもしっかりと長岡の耳に入った。 振り返ると裸体のまま腰が立たないのか這う様に自分にくっついている丸い頭部。 くしゃりと撫でるとその手を掴んで上目遣いに見上げてきた。 「もう帰るだけですし…」 「煽んなって。」 「だって…消えそう…、」 被虐の色を滲ませるその目で、この声で、そんな可愛いお強請りをされて我慢出来る程出来た人間じゃない。 眉を八の字に下げる三条の手をひいて膝の上にのせるとちゅっと口を合わせる。 物足りなさそうに伏せられた目元が微かに赤くなっていた。 まだ身体が熱いのだろうか。 顔を隠す髪を掻き上げると耳も真っ赤にしていた。 無意識かと思ったけど 頑張って口にしてくれてんだろうな 「声、抑えられるな。」 コクンと頷いたのを確認してからまだ治りきっていない柔肌にわざと犬歯を突き刺す。 じわじわ突き刺さる痛みに三条は小さく呻きをあげた。 「ゥ…っ」 「帰ったら嫌って程着けてやる。 今はこれで我慢してな」 噛み痕を指先でひとつ撫でると、三条はうっとりとどこか嬉しそうな顔でもう一度頷いた。

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