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第636話
すっかり忘れていたアラームに起こされたのは長岡だけではなかった。
ふとんに埋もれていた頭が顔を出す。
むくりと起き上がる三条の顔にかかる髪を払うとまだ眠そうに目をとろとろとさせていた。
「悪い起こしたか。
仕事行ってくるから帰ってくるまで寝てろ。」
「仕事…半休って午後からだったんですか…?」
「あ、言わなかったか?」
「聞いてません。
それなら、俺…帰ったのに…」
ガサガサの声は昨夜の激しさを物語っていた。
性の6時間なんて言葉にのっかって散々喘がせた自覚はあるが、三条も満更でもなさそうだったし。
寝ぼけ眼から覚醒してきた三条はだってさっきまで…と口ごもる。
さっきまでしてたけど、仕事は行く。
眠いは眠いが、帰ってきても可愛い恋人がいると思えば半日位余裕だ。
「帰ってきて遥登が出迎えてくれたらすげぇ頑張れるんだけど、待っててくんねぇの?」
「…ずるい、」
「おかえりって言ってくれねぇの?」
「……待ってます。」
「ん、良い子。
ありがとな。」
額に口を付けると歯磨きがまだなんて無粋な事は言わなかった。
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