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第696話
俺は、この子に何を教えられただろうか。
古典に詰まったロマンのどれ程を教えられただろうか。
生徒に何時も教わってばかりいたのに、何を受け取り、掬い取り、この子はこの道を選んだのか。
遥登は公私混同をするような生徒ではない。
本気でそう思ったんだ。
だから、きちんと自分の言葉で、自分の口から伝えてくれた。
あの目を見ればわかる。
沢山、遥登の目を見てきた。
悲しそうな目も、楽しそうな目も、愛らしい目も沢山見た。
だからこそ、本気だと伝わってきた。
だったら、自分も本気で受け止める。
しっかりと支え夢を現実にする手伝いがしたい。
なぁ、三条
遥登
ありがとう
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