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第734話

新学期は色々と忙しい。 生徒達はまず生徒手帳に貼付する個人写真撮影。 3学年は進学就職と必要になるので少し気を使う。 「受験にも使うんだからしっかりネクタイ上げてな。」 毎年思うのだが、女子生徒は社会に出たら化粧を強要されるのに何故すっぴんの写真を撮るのか。 この写真を進学以外に使う生徒もいる。 化粧の練習もせず社会に出すのが学校なのか。 確かに校則やルールも大切だがどうなのだろうと、目下にある頭に首を傾げたくなる。 「三条、髪変じゃねぇ? 大丈夫?」 「大丈夫。 何時もよりイケメてる。」 「マジかー。」 面白い会話にそちらを見れば、飛び出た頭がふわふわと笑っていた。 名簿順の為、吉田は後方の友人と話している。 「長岡にも負けてねぇ?」 「…それは、ノーコメント」 思わず笑ってしまいそうなるが教室から移動する際、静かにと言った手前それを堪える。 電気を点けていない廊下に雲の隙間から春の日差しが入り込む。 廊下自体は冷えるがストロボが漏れる室内より窓辺の方がはあたたかそう。 「ほら、次。」 「あ、はいっ。」 でも、やっぱり冷えるなと手を擦り合わせて手をあたためる。

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