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第736話

全身が軋む様に痛い。 俗に言う成長痛。 骨が伸びるのも痛みが伴うなんて不満しか浮かばない。 「成長痛ね。 俺は割りと平坦に伸びたから差ほど痛くなかったな。」 「その身長でですか?」 「まぁな。 遥登は一気に伸びてるから余計痛いんだろ。 キシキシしてなんか気持ち悪いよな。」 自分より幾分も大きな恋人は小さな頃から大きかったらしい。 小さな頃というか、失礼な話、小学生いや保育園児の恋人を想像出来ない。 ランドセルを担ぐ長岡を想像しようにもなにかが違う。 犬をわんわんと呼んでいたのか。 猫はにゃんにゃん。 それはちょっと可愛いな 「おっきくなれよ。」 「子供扱い…」 ぽんぽんと頭を撫でられ見上げた先は1年前よりずっと近くなった気がする。 ひとつひとつのパーツが整っていて綺麗な顔もよりよく見える。 成長痛は気持ち悪いけれど、近付けるのは嬉しい。 「正宗さんの身長超しちゃうかもですよ?」 「それは困る。 背伸びしてキスしてくる遥登可愛いからな。」 「俺が超したら正宗さんが背伸びしてくれますか?」 その質問に長岡はふと表情を崩した。 「生意気。」 三条は背伸びをすると、ほらもう少しですと無邪気に笑う。 その顔は名前に似て春によく似ている。 わくわくする様などこか胸が踊るような。 ぽかぽかとあたたかく包み込み受け入れてくれる。 長岡がちゅぅっと鼻にキスすると三条は顔を赤くして頬に唇をくっ付けた。 「し、仕返しです。」 「口が良かったなー」 「…仕返し、ですから、」 細い腰に手を回し、しっかりと抱き締めるとにやりと笑う恋人にしまったと思ったがもう後の祭り。 「じゃあ、俺も仕返ししよ。」

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