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第805話
リビングで扇風機が回っている。
それだけでも、風が循環して涼しい。
三条はパタパタとはためくプリントを押さえながら、扇風機の目の前の特等席でテスト勉強をしていた。
折角の休日もテスト勉強に時間を使い、恋人との家デートはお預け。
その恋人も用事を済ませに学校に行ってるらしい。
休日なのにきっちりとスーツを着込み髪をセットして行っているのだろう。
「遥登、お昼ご飯何食べたい?」
母親の声に時計を見ると、時計の針は天辺を指そうとしていた。
通りで腹が減る筈だ。
「うーん…。
甘いの…、ホットケーキ」
「ホットケーキ!
俺も食べたい!」
寝転んでゲームをしていた優登もホットケーキ!ホットケーキ!と起き上がった。
弟は甘い物を作るのも好きだが食べるのも好きで、久しぶりのホットケーキに喜んでいる。
「じゃあ、ホットケーキにしようね。」
「俺も手伝う。
気分転換したい。」
「じゃあお願いしようかな。」
大きく伸びてから、プリントが飛ばない様にペンケースを重石にすると台所へ向かった。
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